ナンシー・シナトラの映像(DVD)です

 47年前に、こんなにも高度な仕上がりの音楽プロモーション映像があったとは、かなりビックリだ!

 その映像とは、あのフランク・シナトラの娘ナンシー・シナトラのNANCY SINATRA “MOVIN with NANCY” である。 

 収められている楽曲には、それぞれの曲にイメージ演出が施されている。60分全編がショートショートのように、すべてワクワクさせる映画のオムニバス仕上げの緻密さと映像美なのだ。

  収録されている16曲は、彼女の1966年2月全米No.!のビッグヒット曲「にくい貴方」の他、リー・ヘーゼルウッドとのデュエット曲「ジャクソン」、シナトラ一家の重鎮、カッコイイおじさまディーン・マーティンとのデュエット「初恋の並木道」は勿論…サミー・ディヴィスJrは雑誌のカメラマン役で登場。そして御大シナトラもレコーディング・シーン(歌唱)で顔を出す。

 父シナトラが「金は心配いらないから、娘のムービー、ヨロシク!」と全スタッフに指示したであろう緊張感が、作品全体からビリビリ伝わってくるのだ。親父さんは、娘の「にくい貴方」のビッグ・ヒットが本当に嬉しかったに違いない。

 不思議なのは…

 このフィルムを、どこの誰に観せよう(実用性?)として製作したのかしら。映像の中では広告スポンサーとして一社だけ “RCコーラ”のCMが何度も出てくる。そして不思議その二、肝心な一曲、フランク&ナンシー親子のデュエット曲<1967年4月の全米No.1>「恋のひとこと」が入っていないのだ!残念。

 ということは、おそらく1966年後半に制作されたのでしょうね、このフィルム映像。とにかく…まったく古くはなく、むしろ先いってるできばえ!必見。(2013/9/11)(Dannyで鑑賞できます)

名盤・奇盤・レア盤が、ワーナーミュージックから続々と新発売!

 2013年この夏に、ワーナーミュージックが誇る「不滅のマスター・オブ・ポップ」という触れ込みで、全50タイトルのCDが発売された。(8/7&9/4の2回に別けて各25タイトルづつ)すべて“最新デジタル・リマスタリング”で、これがなんと各1,000円。<歌詞・解説付> 

※僕の趣味としてはベスト盤でなくて、当時リアルタイムで発売されたLP盤そのままというセンスがイイナ!ボーナス・トラックもあえて入っていないという…!

 このシリーズは、かつてのLP時代のレコード・デザインで、ライナー・ノーツ入りで収録曲も同じ構成。まさしく名盤・奇盤・レア盤だ。

 僕はザ・カスケーズのファースト・アルバムにすぐに眼がいった。その昔、とても少なかった小遣いを貯めて思い切って買ったLPだ。赤盤だった。当時はテープレコーダーはなかったので、このレコードを毎回掛けたものだから、針が盤上をツルツル滑るほどになったことが思い出される。(この盤、いまは手元にないが)

9月10日(火)の三角山放送「オールディーズ・バット・グッティーズ」はワーナー・ミュージック特集です。(2013/9/3)

▲レコジャケ写真、クリックで拡大できます。

    Bar Dannyで鑑賞できます!

   映画「女はそれを我慢できない」

 僕が過去約40年間ほど、ズーッと観たくて探し求めていた映画でしたがなかなかその機会がなく、このたびやっと手にいれました。「女はそれを我慢できない」。怪しそうでエロティックな題名に興味をそそられますが、そうではなくてロックン・ロールのバイブル的映像です。

 僕より5歳ほど上の日本のポップス関係者(平尾昌章・ミッキー・カーチス・かまやつひろし・加瀬邦彦さんたち)は、この映画で刺激を受けたと言ってます。いま(2013年)から56年前の映像ですが、今回デジタル処理されて色も形も素晴らしく美しく再生され、嬉しい限りです。ぜひご覧になってくださいな。この映画はオススメです!

(日本公開1957年/シネマ・スコープ&カラー/本編98min)

※Bar Dannyで鑑賞できます!

1950年代のロックン・ロールのエンタティンメント名作映画

「女はそれを我慢できない」 The Girl Can't Help It

 

 やっと会えましたよ、ジェーン・マンスフィールドさん。最高です!

 みなさんご存知ですか? 1956年にアメリカで製作され、翌57年に日本でも公開された“伝説のR&R音楽コミック映画”です。

 

【映画のあら筋】

 酒好きな宣伝屋(トム・ミラー)は、昔なじみのギャングの男(マードック)に出会う。トムはこの親分に雇われて、美人で有名な娘(ジェリー)<ジェーン・マンスフィールド>をスター歌手にするという仕事を担う。

 親分との約束は「絶対に彼女に手を出してはいけない!」であったが、この二人はすぐに愛しあうようになってしまう。ジェリーは歌手になろうとは一切考えていないが、親分に恩義があって断れずに、下手な歌を唄わなければならないハメになっている。親分は何としても彼女を歌手にすべく、八方あれこれ手をつくして、何とか人気を火をつけスターにしてしまった。

 ニューヨークでの舞台の準備が迫る中、親分ははじめは反対していた二人の仲を許し、めでたくゴールイン。となろうとしたところに親分と張り合うギャングたちが乗り込んでくる。この状況でトムが機転を利かせて、親分自らを舞台に立たせR&Rを唄わせると客は喝采し、乗り込んできたギャングも感激して仲直り。両者の対立もシャンシャンで、ここで映画のストーリーは終わる。

 ラスト映像には、結婚10年後にトムとジェリーの間に5人の子供が生まれ、ズラッと全員が登場する。ここに親分は乳母車を押しながら「おじいさん」として登場する。

 ストーリーはコミック・ドタバタ劇だが、このストーリー展開の中のシアター・レストランやTV映像、ダンス・パーティ。そして挿入話にジュリー・ロンドンが出演したり、数々の有名歌手が登場するのが圧巻。拍手拍手のサービス満点映画だ。(2013/5)

 

     (写真をクリックすると拡大になります)

【ジェーン・マンスフィールド】

 マリリン・モンローと並んで、1950年代のセクシー・シンボル(アイドル)を代表した女優のひとり。出演当時(1956年)24歳であったが、すでに結婚を2回経験していて子供も3人生んでいたという。生涯で3回結婚して男3・女2名の5人の子供を生む。(女性は二人とも女優・モデルで活躍している)

 1966年6月28日の夕刻にルイジアナ州のサパークラブの契約を終えて車で移動中、前を走っていたトラックの急ブレーキに間に合わず追突してしまい、命を落とす。享年34歳。車の全部座席の大人3人は死亡したが、後部座席の子供3人は軽症で助かった。その際に彼女の首が飛んだという噂があり、僕もリアルタイムでそのように聞いたが事実ではない。

 ジェーンは早死にしてしまうなどマリリン・モンローと似たような境遇を連想させるが、芸能界やファンからはグラマラスな要素を求められつつも、抵抗せずに人気を維持した。本人の知能IQ度はバツグンで大学も数校出ており、人間的素養も踏まえた女性であったという。

【劇中に登場するアーティストたち】

■ゲスト・スター/ジュリー・ロンドン、レイ・アンソニー、バリー・ゴードン

ファッツ・ドミノ ●ザ・プラターズ ●リトル・リチャード

ジーン・ヴィンセント & ザ・ブルー・キャップス

●ザ・トレニュアーズ ●ザ・チャクルズ ●アビ・リンカーン

●ジョニー・オーレン ●ニノ・テンポ ●エディ・コクラン

 

【その他、時代考証的楽しみ方】

 映画のシーン中で50年代を象徴するモノが数々登場しています。

●生のリンゴの自動販売機(これ可笑しい) ●50sデザインのジューク・ボックス ●TWA(航空会社)のプロペラ旅客機・ダグラスDC-8 ●キッチン(ルーム・インテリア) ●ギャングたちの車 ●サパー・クラブの情景など。

     そして学校の体育館でR&Rダンス・パーティが開催されるシーンでは、若い参加者たちが履いてきた固いハイヒールや皮靴を脱いでダンスを踊っている。当時はフローリング床が痛むので、みんな裸足で踊ったという史実を忠実に再現していて心地よい。(映画「アメリカン・グラフィティ」にも同じシーンがある) 

 

【この映画にインスパイアされたと思われるエピソード】

●日本の歌手アン・ルイスに加瀬邦彦が提供(作詞・作曲)した曲、曲名そのまま「女はそれを我慢できない」

●大信田礼子にも、作詞/阿久悠 作曲/親泊正昇の「女はそれをがまんできない」がある。